人事業務はたくさんの業務が含まれ、手作業でしていた時は膨大で煩雑な作業に追われて、多忙を極めていたことでしょう。
本記事はそんな人事部門の役割や人事管理システムとはどんなもので、多岐に及ぶメリットには具体的にどんな点があるのかを解説しています。
また人事管理システムを導入して活用するために、どんな点を明確にしておくべきかについて説明していますので、参考にしていただけることでしょう。
人事管理システムの導入を検討されている方にとっては、基本であると同時に再確認が必要な情報ですので、最後まで読んで役立てていただければ幸いです。
Contents
人事部門の主な役割とは?
人事管理とは、従来は従業員の給与計算、勤怠を管理する業務を行っていましたが、近年では以下の項目の管理も追加で担当しています。
- 人材採用
- 配置・配属
- 社員教育
- 人材戦略マネジメント
など従業員の労務に関するあらゆる側面が含まれています。
人事管理システムとは?
人事管理システムとは、従業員の情報を管理するシステムで、マイナンバーカード制度の施行により、個人情報保護の観点から需要が広がっています。
また人事管理システムには業務の種別に応じてたくさんの種類があります。
たとえば勤怠管理や労務管理、また最近注目を集めているタレントマネジメントなどのシステムがあり、どれも時間が取られていた業務を大幅に効率化させ、膨大な人材情報をすべてまとめて一元的に管理することが可能です。
ただしシステムの提供会社により、管理方法や機能に違いがあるので注意してください。
人事システム導入による効率化に関するメリット
前述しましたように人事部門の業務には、膨大な情報を処理するだけでなく、煩雑で多方面の業務が含まれています。
人事管理システムの導入には、そうした業務を効率化できるメリットがあります。
メリットを大きく分けると「効率化」と「人材育成」の2つの面から考えられ、この章では1つ目の「効率化」に関する4つのメリットを以下で説明していきます。
- 人事業務の効率化
- ヒューマンエラーを削減
- 多様な雇用形態の条件を効率的に管理
- セキュリティの強化
人事業務の効率化
従来の人事業務では、人がパソコンに向き合ってエクセルなどに入力しデータを各部署ごとに管理していました。
ですが人事管理システムによって、手作業での入力やデータの集計が不要になり大幅に業務を効率化できます。そのため人件費のコスト削減も可能です。
また採用や異動などの部署が違う情報もクラウドでまとめて一元管理できるため、人事全般に関連したデータ分析などがスピーディーに行えるのも、効率化によるメリットといえるでしょう。
そしてデータはリアルタイムで更新され、情報がいつも最新な状態であるため、データが古くないか確認せずにすみ、安心して業務に取り組めます。
ヒューマンエラーを削減
人事業務の大きな仕事である給与計算や勤怠管理を行う上で、従来では人の手で細かい計算や集計が必要であり、当然発生するのが入力ミスなどのヒューマンエラーでした。
人事管理システムは、データ入力や集計も自動化されるため、従来必要であったヒューマンエラーを見つけたり修正したりする無駄な時間や作業を大幅にカットできます。
そうして無駄に時間が取られていた分、他に重要性の高い業務に取り組めるので、さらなる事業の拡大を期待できるのもメリットです。
多様な雇用形態の条件を効率的に管理
人事管理には派遣社員やフレックスタイムなど従業員の雇用形態の多様化にも対処しなければなりません。各従業員によって条件が異なる場合は、給与計算は複雑極まりない作業です。
人事管理システムでは、多種多様な勤務形態に対応し、システムが一括で判断し計算できるので、混乱しがちな業務から解放してくれます。
また税率変更や法改正が生じた時も、データベースの情報を、簡単に変更できるため大変便利なシステムと言えます。
セキュリティの強化
人事部門では、従業員の個人情報や社外秘などの機密情報を多く扱うため、強固なセキュリティ対策が必要です。
人事管理システムでは、さまざまなセキュリティ機能を搭載しています。セキュリティの種類は扱う会社により違っていますが、クラウド上で管理している場合も、万全の対策を施し安全といえるでしょう。
たとえばシステム上で操作した履歴をすべて保存し、早い段階でセキュリティ面でのトラブルを発見できるようにされています。
またユーザーごとにパスワードを設定して、業務に関係ない人がデータを見れないようにして、システムを守るようになっています。
人事管理システム導入の人材育成のメリット
前章では、人事管理システムを導入するメリットとして「効率化」について解説してきました。
この章では、重要で難しい「人材育成」に関連した以下の5つのメリットを説明していきます。
- 人材を“適材適所”に配置
- タレントマネジメントにも対応
- 埋もれている人材を発掘
- 合理的な人材育成
- 面談記録の保存
人材を“適材適所”に配置
人事管理システムは、人材を適材適所に配置する複雑で重要な課題にも対応しています。
人事システムは従業員情報に評価やスキルも紐づけされ一元管理されているため、必要な人材を抽出することも即座に行えます。
たとえば新規プロジェクトに適した従業員を抜擢したい場合に、必要なスキルや評価で検索をかけて人材を探せるのです。
これまで経営者にとって新たに組織を編成したり設計したりする場合、人事戦略を練ることは膨大な作業を要する必要不可欠な課題でした。
ですが人事管理システムを活用し、そのデータベース上にある手作業では探せない蓄積した従業員情報から、最適な人材を引き出し適材適所に配属することもスピーディーに行えるのです。
人材を確保し新たなプロジェクトを立ち上げ戦略を練るためには、人事管理システムは必須といえるでしょう。
タレントマネジメントにも対応
社員の「タレント」つまりスキル・経験・才能などの情報も貴重な経営資源といえます。
「タレントマネジメント」で人事管理システムを活用する際は、社員が持つタレントをデータベースで一元管理できるので、企業が経営戦略に用いたいタレントを持つ社員を特定し抜擢することが可能です。
また社員のキャリアやスキルを可視化し明確にできるため、研修などでさらに成長機会を与えてモチベーションを高められます。
人事管理システムのタレントマネジメントは、戦略的なタレント管理ができ、さらに社員の能力を最大限に引き出すことで、企業の発展に大いに貢献できるでしょう。
埋もれている人材を発掘
人事管理システムで人事情報を、データベースでまとめて一元管理するなら、普段では見えにくい従業員のスキルや資格などが可視化され明らかになります。
それにより、今まで埋もれていた才能が表目に現れてくるので、人材の発掘も可能となるでしょう。
さらに才能を発掘された人は、能力を今まで以上に用いる意欲が高まり、業務に対するパフォーマンスの向上が期待できます。
こうして従業員の社員満足度も向上し、いっそう会社への貢献度が増すと思われます。
合理的な人材育成
人材マネジメントや人材育成は、もし人事管理システムを活用しないで人の判断で行うなら、個人の偏った感覚や印象が基準になりやすく不合理な結論に至りかねません。
人事管理システムのデータベースで一元管理された従業員のスキルや経験などのタレント情報は、合理的な判断をくだす助けとなります。
人材育成に活用するなら、従業員に応じた必要な研修が何か探れますし、従業員も本当に学びたいことを学習する機会が得られるでしょう。
人事システムが判断した合理的な人材育成は、従業員満足度が向上し離職率を減らすことが期待できます。
人材育成を検討されている企業様は、さまざまな分野での研修を担当し、実績を重ねてきた当社に是非ご相談ください。
面談記録の保存
最近は社員のメンタルヘルスやコミュニケーションの緊密化などを考慮して、1on1ミーティングを取り入れる会社が増えています。
そうした面談での話し合いの情報、たとえば従業員の意向や希望、経験などで培ってき能力などを記録し、人事管理システムに残しておくなら、後日人材の適材適所の配属や人材育成などの人材管理に役立つでしょう。
人事管理システム導入時に明確にすべきポイント
人事管理システムを最大限に活用するため、導入時に明確にしておくべきポイントがあります。
せっかく導入しても十分活用できないといった事態を避けるために確認しておきましょう。
確認事項は以下の5つです。
- 導入の目的は明確か
- コスト面でマイナスとならないか
- ほかのツールとの連携が可能か
- 誰でも使いこなせるか
- サポート体制は万全か
導入の目的は明確か
人事管理システムを導入する際、どんな課題を解決するために活用したいのかが、明確でないなら期待した成果が得られず無用の長物になってしまいます。
目的は給与などの煩雑な業務の効率化でしょうか。人材マネジメントに活用したいのでしょうか。それらを明白にしてから導入を考えるのは重要なことです。
まず人事管理システムには目的に応じた数々のシステムがありますので、欲しい対象のシステムを探しだすことから始めます。
自社の目的に合うサービスや欲しい機能が搭載されたものでも、提供する会社によって細かい機能が違っている場合があります。
さまざまな人事管理システムを比較しながら、自社にちょうど適合するシステムを選択してください。
コスト面でマイナスとならないか
人事管理システムを導入する際に、コスト面でマイナスにならないか十分検討することは大切です。
導入するときの費用だけでなく、ランニングコストやメンテナンス費用も考慮する必要があります。
自社の目的に合致し課題解決するシステムを選び出し、予算内でおさまりマイナスにならない範囲の人事管理システムを導入しましょう。
ほかのツールとの連携が可能か
人事管理システムを新たに導入する際、すでに使っているツールと連携できるかどうか互換性を確認する必要があります。
給与計算や倦怠管理などで、すでにシステムを利用している場合は、連携がうまくいかないとデータが重複したり矛盾が生じたりする可能性があります。
人事情報は膨大なデータベースになりますから、データに不具合が生じると大変なことになります。
新たに別の種類の人事管理システムを導入する時は、自社で使用しているツールとの連携を確認しておきましょう。
誰でも使いこなせるか
人事管理システムは、限った担当者のみの使用するわけではありません。
他の従業員も使用する場合も想定して、操作が複雑でないか確認することが大切です。
複雑に設計されていたり、操作が難しかったりすると、わざわざ操作に関する研修やマニュアル作りが必要になってしまいます。それでは業務の効率化を追求するシステムが、反対に無駄な作業を増やしてしまうことになるでしょう。
従業員の中にはITを苦手とする人にとって、システムの利用はストレスとなってしまうかもしれません。
ですから操作のしやすさも念頭に置いて、システムを選択する必要があります。
サポート体制は万全か
人事管理システムを選択する上で、システムのサポート体制がどの程度整っているか確かめておくと、安心できます。
導入後は何かとトラブルはつきものですから、即対応してくれる体制があるか確認しておくのは、後々のため大切です。
選任の担当者がついて、手厚くサポートしてくれる万全の体制があると、大いに助かるでしょう。
人事管理システムのまとめ
人事部門にはたくさんの種類の業務があり、手作業で行うには膨大な作業が求められることになります。
人事管理システムは、そうした人事関係の煩雑で膨大な仕事を効率化し、従業員情報をデータベースで一元管理することが可能です。
どの人事部署であっても人事情報を活用した戦略を練るために、従業員のタレント情報も紐づけられているため、即座に分析し必要な人材を的確に検索できる便利なものです。
人事管理システムのメリットは「効率化」と「人材育成」に大きく2つに分けられ、多岐にわたるメリットがあります。
給与計算では人為的なミスをなくせますし、雇用形態の条件に応じて即座に計算できるなら大変便利なことでしょう。
人材育成では従業員のスキルなどのタレント情報も管理できるので、適材適所に配置できるだけでなく、埋もれた人材も発掘でき社員満足度の向上にも役立っています。
さらにこの記事では、人事管理システムの導入において明確にしておくべきポイントもいくつか紹介しています。
自社の目的に沿った適切なシステムを導入して、効率化と人材開発に役立てられるように願っています。
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