人材育成

新人研修のカリキュラムを作成する6つのステップとは?


新人研修におけるカリキュラムは、会社の将来の業績と新人の社会人人生をも左右する非常に重要な役割を持っています。

新入社員の目標設定を導くのが「新人研修」 

新入社員の目標設定を導くのが「新人研修」 

私たちは、新人研修は彼らの可能性を引き出すために絶対必要なものであると考えます。

何故なら、人間(脳)にはホメオターシスという現状維持機能(体温も含む)が常に働いているからです。
つまり、ホメオターシスとは、居心地の良い環境にとどまろうとする働きです。

ホメオスターシスとは、生物において、その内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のことである。

Wikipedia

このホメオターシスの制御を外すことは、当人一人の力だけでは困難です。

つまり先輩や上司を含む、第三者の働きかけが必要不可欠となります。

例えば、ベンチプレスの競技においても、一人でトレーニングを進めている方と、トレーナーなどの第三者がサポートをする場合では下記のような目標設定の差が生まれます。

今回の場合、私たちの中の男性メンバーの実体験を元に、現在65キロの重量を挙げられる男性をモデルにして説明します。

  • 一人の場合:現在より2キロプラスをコツコツ目指そうとする
  • 二人の場合:半年後に100キロ超え目標を与えられる

つまり、人間は無理のない範囲(現状維持)で目標を設定する習性をもつため、パフォーマンスを短期間で大きく伸ばすためには第三者が大胆な目標設定をして、導く必要があります。

目標設定の差において、男性のその後の行動には下記のような差が生まれました。

現在より2キロプラスをコツコツ目指す場合今まで通りのトレーニング内容を継続する
半年後に100キロ超え目標にした場合100キロ超えに必要な項目を考え始める。例えば、現在のトレーニングに加えて食事・睡眠の改善の必要性を考え始める

その結果として、半年後には成果に大きな差が生まれました。

  • 一人の場合:75キロを挙げることに成功
  • 二人の場合:100キロ挙げることに成功

つまり、企業においてこの大胆な目標を与える役割を担っているのが研修です。

新人研修では、「内容」はもちろん大切ですが、「タイミング」によっても成果は大きく異なってきます。

まずは新人研修を行うべき適切なタイミングについてお話ししていきます。

新人研修はタイミングがすべて 

新人研修はタイミングがすべて 

ロケットスタートを切るために新人研修を行う最適なタイミングは、新卒や中途にかかわらず新人研修は「入社時」です。

新卒の新入社員においては4月から、中途の新入社員においては入社後すぐに行うことは、当たり前にも聞こえます。

しかし、入社時は誰にとっても新たなスタートラインという特別なタイミングであることから、本人の熱量と吸収量が最も高い時期です。

さらに入社時ならば、無用な先入観がないので、企業理念や業務内容を浸透させやすくなります。

また、大胆な目標設定も受け入れやすい時期です。

そのため新卒社員に対しては、社会人になる自覚を喚起するために、中途社員に対しては、新しい環境になじませるために、入社直後の新人研修が必要です。

新人研修カリキュラムの作り方

新人研修カリキュラムの作り方

ここからは新人研修のカリキュラムの作り方を、6つのステップに分けて解説していきます。

新人研修カリキュラムの作り方6ステップ

  • ステップ1 育成目標を明確にする
  • ステップ2 新人の現状を把握する
  • ステップ3 目標と現状のギャップを把握する
  • ステップ4 ギャップを埋めるための要素を洗い出す
  • ステップ5 要素をどのように身につけさせるか決める
  • ステップ6 タイミング(日程)に落とし込む
  • ステップ7 目標・目的に応じて研修手法を使い分ける

ステップ1:育成目標を明確にする

まずは、会社の事業の目的であったり、会社が目指している将来像、活躍している先輩社員像などから、逆算して、いつまでにどのようになってほしいか(あるべき姿)を考えることがポイントです。

新人研修カリキュラム作成において大切なステップとなります。

ステップ2:新人の現状を把握する

育成の対象者である新人の現状(現在の姿)を把握します。

当然、育成対象の新人は複数いると思いますので、最大公約数的な内容となります。

社内で採用と育成の担当者が別な場合には、採用担当者と新人の採用プロセスでの印象や過年度との違いなどの情報共有をすることをおすすめします。

ステップ3:目標と現状のギャップを把握する

新人社員の将来の「あるべき姿」であるゴールから見て、「現在の姿」と「あるべき姿」の差を確認します。

どんな能力が不足しているのかを抽出します。

ステップ4:ギャップを埋めるための要素を洗い出す

前のステップで抽出した不足している能力を構成する知識・スキル・経験などを与えれば、その能力を効果的に身につけられるのか、徹底的に考えてください。

以下は、新入社員に必要な知識・スキル・経験の例です。

  • 社会人としてのマインドセット
  • 他者との関係性構築のスキル
  • 業務遂行に必要な様々なスキル
  • キャリア開発の意識
  • メンタルヘルスの知識
  • ロジカルシンキングスキル など

ステップ5:要素をどのように身につけさせるか決める

前ステップで洗い出した知識・スキル・経験を効果的にかつ効率よく新人に身につけてもらうために、どのような方法がとれるのかを検討します。

自社内の過去の成功事例や他社の成功事例、最近の研修トレンドなどを考慮しましょう。

このような情報の収集には、専業の研修プログラムを提供する企業との打ち合わせも有効です。

ステップ6:タイミング(日程)に落とし込む

各要素を身につけてもらう順序を考えましょう。

中には、あることを身につけてからでないと、身につけることが困難、あるいはできないという関係にある要素同士もあります。

そのうえで、「あるべき姿」になっていてほしい時期を考慮しながら、日程に落とし込んでいきます。

例えば、以下のスケジュールです。

  • 4月 ビジネスマナー基礎研修 
  • 5月 コミュニケーション研修
  • 6月 ロジカルシンキング研修
  • 現場への配属後 OJT
  • 11月 モチベーションコントロール研修
  • 1月 フォローアップ研修

ステップ7:目標・目的に応じて研修手法を使い分ける

身につけて欲しい要素それぞれで相応しい研修手法(伝え方)があります。

これもステップ5と同様に、自社内の過去の成功事例や他社の成功事例、最近の研修トレンドなどを考慮しましょう。

このような情報の収集には、専業の研修プログラムを提供する企業との打ち合わせが有効です。

  • OFF-JTなのか、OJTなのか
  • ロールプレイング
  • ケーススタディ
  • グループワークなのか、講義なのか
  • 社内講師なのか、社外講師なのか

新人研修カリキュラムのお役立ちツール

新人カリキュラムを作成する際には、ツールも活用することがおすすめです。

ここでは、2つのツールを紹介します。

本の要約サービス

新人が自ら学ぶ姿勢の形成をサポートできます。

本の要約サービス flier(フライヤー)

新入社員を正しく受け入れる際の活用ツール

新人の特性と受入側メンバーの特性による関係分析ができます。

e-manager

まとめ

新人研修は、企業と社員の成長にとって重要な研修の一つです。

カリキュラムを充実させ、入社したタイミングでしっかりとした新人研修を行うことで、企業と社員の成長につながります。

カリキュラムを充実させるためには、本記事で紹介した6つのステップを一つずつ行うことがおすすめです。

しかし、すでに人手不足や他の業務に追われて忙しいなどの問題のある企業も少なくないでしょう。

新人研修カリキュラムの作成に時間がないという企業は、研修を専門に扱う企業へ依頼することも検討してみてください。

当ビジネストレーニング事業部の研修プログラムは、当事業部メンバーが開発しています。

豊富な実績をもとに開発した研修プログラムをぜひご検討ください。

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記事の監修者
   ビジネストレーニング事業部
   

ビジネストレーニング事業部

社員研修の専門家チーム。数多くの研修プログラムを開発し、中小企業から大手企業まで200社以上の実施実績がある。 それらのノウハウをまとめた「ビジネスパーソンのためのボトルネックブレイクⅠ」「ビジネスパーソンのためのボトルネックブレイクⅡ」等の著書も出版している。