人の持つ潜在的な能力を引き出せる企業は、どんどん成長していくものです。
企業の成長手段にはさまざまありますが、エンパワーメントをビジネスに取り入れることもその一つです。
ではエンパワーメントとはどんな意味があるのでしょうか?
ビジネスに取り入れることでどんなメリットがあるのでしょうか?
そして成功するために、どんな手順で行っていけばいいのでしょう?
失敗しないため、どんなことを認識しておく必要があるでしょうか?
本記事では、これまで数々の企業様に社員研修を行ってきた私たちが、それらの点について解説していきます。
ぜひ企業の発展にお役立てくださいますよう願っております。
Contents
ビジネスにおけるエンパワーメントとは
エンパワーメントとは、人が潜在的に持っている能力を引き出し開花させるという意味があります。
ビジネスの世界では、上層部が従業員に業務上の権限を与えることで、従業員の能力を引き出し、自分で判断し決定し行動するように促していきます。
上層部の経営陣から権限を委譲された従業員は、リーダーシップを発揮し業務上の意思決定を行えるので、なにかあればその都度、上層部に相談にいき決定してもらう手間が省け効率的です。
その結果、現場はチームワークを取りながら、スピーディーに問題を解決し業務を進められます。
エンパワーメントをビジネスに取り入れる目的は、従業員のスキルや自発的に行う能力を引き出すことで、企業の組織力を強化し向上させる結果が期待できるでしょう。
結果として企業の成長と繁栄に資することに繋がっていくなるわけです。
ビジネスにおいてエンパワーメントを取り入れる5つのメリット
エンパワーメントをビジネスに取り入れることによって、どんなメリットがあるでしょうか?
考えられる5つのメリットについて解説します。
- 有能な人材を確保できる
- 隠れた能力や個性が発揮される
- 業務スピードや顧客満足度が向上する
- 社員一人ひとりに責任感が抱ける
- モチベーションが上がる
有能な人材を確保できる
エンパワーメントを行うと、有能な人材が育ってきます。
なぜなら、仕事が任されることで、目標設定をし達成するため、最善の方法を試行錯誤を繰り返しながら考えることで、判断力や仕事の経験値が養われていくからです。
そしてリーダーシップが発揮されることで、チームとして働く際のコミュニケーション能力も上がります。
従業員が自らの能力が引き出され成長していく実感は、仕事や企業への愛着につながるでしょう。
そうなると、有能な人材が定着し確保できますので、企業にとってはメリットになります。
隠れた能力や個性が発揮される
従業員の隠れた能力を引き出し発揮させられる企業は、人材育成能力のある優れた企業といえるでしょう。
企業がエンパワーメントを実行し、従業員に権限を委譲することで、業務を企画し進めていく際の裁量が与えられます。
それによって従業員は本来の能力や個性が発揮でき、それまで隠れていた独創的なアイデアを提案したり、本人も気づかなかった潜在能力や長所が見つかったりすることがあります。
エンパワーメントで、個人の秘められていたパワーを最大限に引き出すことは、組織レベルを底上げしチームワークを強化する環境つくりに貢献することでしょう。
業務スピードや顧客満足度が向上する
エンパワーメントは部下に権限が与えられますので、何か問題があった時、部下がその場で判断することが認められています。
つまり上司に判断を求めに行くため、仕事をストップさせる必要はないため、問題解決にむけて時間をロスすることなく、スピーディーに取り組めるのはメリットといえます。
たとえば、顧客からのクレームがあった時、解決に時間がかかっていては顧客の満足度は下がってしまうでしょう。
しかしその場ですぐに対応して解決できるなら、顧客に与える印象は良い意味で違ってきます。
このように、エンパワーメントを行うことは、顧客のニーズに柔軟で素早い対応が可能ですので、顧客満足度の向上につながります。
社員一人ひとりが責任感を抱ける
エンパワーメントで権限が与えられると、自ら判断し決定しなければならず責任が生じます。
なぜなら、今までの上司に指示を求め、その通りに行えばよかったケースとは状況が違ってくるからです。
業務遂行にあたって、どのようなプロセスで行えばよいかを自らが考えざるを得ないため、仕事に対する取り組み方も当事者意識と責任感が強くなり、働く姿勢が積極的に変化することが期待できます。
もちろん最終責任は上司が負いますが、部下も任された仕事に責任をもってのぞみたいと意欲を示すことでしょう。
モチベーションが上がる
エンパワーメントで、仕事に意欲と責任感を持ち、自発的に考え自己決定して取り組むのと、ただ指示待ちで言われた通りに仕事をするだけとでは、モチベーションが大いに違ってきます。
そして目標設定したり課題を解決したりして仕事を遂行するなら、やる気と張り合いが増してきます。
こうした成功体験を重ねることで、モチベーションや従業員満足度は向上するでしょう。
エンパワーメントビジネスで成功した事例3つ
以前は問題をかかえていた企業も、エンパワーメントをビジネスに取り入れた結果、問題が解決され成功している企業があります。その中から3つ紹介します。
株式会社星野リゾート
株式会社星野リゾートは、リゾートホテルを手がける有名な企業です。
以前は退職率が高かったため、退職希望者へのインタビューをして原因を探りました。
その結果、トップの上層部から現場の従業員までのヒエラルキーが形成され、ただ指示通りに働いていくだけの経営方針に問題があったことが判明したのです。
そこでエンパワーメントをビジネスに取り入れることにし、情報を社員にも公開するほか、自由に意見が言える機会をつくりました。
さらに権限委譲を進めてやりがいと働きやすい環境づくりに取り組んだ結果、退職希望者が減り人材の確保を実現しています。
スターバックスコーヒージャパン
スターバックスコーヒージャパンはカフェで馴染み深い企業ですが、エンパワーメントをビジネスに取り入れています。
必要な仕事内容を徹底教育した後は、権限委譲をし、マニュアルは「お客様が何を望んでいるかを考える」という1つだけという徹底ぶり。
あとは従業員の自主性と創造性を発揮させ、最善のサービスを自ら考え実践させることで顧客満足度を向上させています。
リッツ・カールトン
リッツ・カールトンは顧客満足度の評価が高いホテルですが、エンパワーメントを実施している企業です。
具体的には、従業員に約20万円までの決裁権を与え、お客様にとって最善のサービスのために、迷うことなく判断し決定させています。
これまで最高のサービスが提供され続けてきたのも、エンパワーメントをビジネスに取り入れた結果といえるでしょう。
エンパワーメントビジネスの導入時の手順
エンパワーメントを組織に取り入れる際は、下記の4つの手順で進めるとよいでしょう。
- エンパワーメントの推進を全体に伝え共感を得る
- 必要な情報開示を行う
- 従業員に権限を与える
- フォロー体制を整える
それでは詳細を説明します。
エンパワーメントの推進を全体に伝え共感を得る
エンパワーメントが成功するかどうかは、現場の従業員全体の合意や共感が必須です。
なぜなら、権限を委譲された人がリーダーシップを発揮し、そのリーダーの自己決定を支持し、円滑なコミュニケーションと一致したチームワークが求められるため、全体の合意が必要だからです。
つまりエンパワーメントの推進は誰か一人が浮足立って行っても、全体が共感してチームとして協力しなければ意味がないのです。
そのために、エンパワーメントを推進する理由や目的、設定した目標にどのように努力できるか?目標が達成したらどんな良い状態に変化するのか?どんなメリットがあるのか?などを伝えることが大切です。
また判断や決定の自由を認めると同時に、失敗を許容するフォロー体制があることを説明して不安要素をなくすことは重要で納得が得やすいでしょう。
必要な情報開示を行う
エンパワーメントを推進するための共感を得られたら、つぎに必要な情報を公開します。
公開する情報とは、企業の方針、経営戦略、人事、経理に関する重要な情報です。
これらの情報を開示することで、社員を信頼していることを示し、いっぽう社員側はその期待に応えたいという意欲を強めます。
また社員が企業の方針と違った行動を防止するために必要です。
なお開示する情報は気密性の高い情報も含まれることから、情報漏洩のリスクを考えて、新しい社員やエンパワーメントの対象者ではない従業員には、公開する範囲に制限をかける必要があるでしょう。
従業員に権限を与える
従業員に権限を与えていきますが、権限は少しずつ与えることで従業員の負担意識を減らせます。
権限を与える際には、従業員が意思決定できる範囲や事前に相談してほしいのはどこからか?上司が意思決定をしている基準などを明確にしておく必要があります。
そうすることで、従業員が異なる方向に暴走したり、与えられた権限以上のことをしたりするリスクを防げるでしょう。
しかし、最終責任は上司が負うことを説明し、失敗を恐れず自主的に意思決定して権限を遂行することを励ませます。
フォロー体制を整える
権限を委譲したら、上司は定期的に業務の進捗状況を確認し、いつでもフォローできる体制を整えておきましょう。
権限を付与したからといって、そのまま社員に丸投げして放りっぱなしにするのは良くありません。
もしトラブルが発生した時には、上司がフォローにはいり、トラブルが起きた原因や次からどうしたらいいのかを一緒に考えて見直せます。
それこそ上司がエンパワーメントの効果が発揮されるよう後押しする機会になります。
また普段から上司とのコミュニケーションを良好にしておくことは大切です。
それは社員から相談しやすい関係性ができている証拠で、権限委譲した後の状況を把握し、的確なフォロー体制の充実に貢献するでしょう。
エンパワーメントが失敗する原因
せっかくいい計画で遂行してきたエンパワーメントも失敗することがあります。
失敗には以下の2つの要因が考えられます。
上司に従業員を育成する観点がない
エンパワーメントをビジネスに取り入れる目的は、従業員の自主性や自立性を引き出し有能な人材に育て上げることです。
ですから、権限委譲はそのための手段にすぎず、責任はあくまで上司にあることを理解していないことで失敗に終わることがあります。
社員に責任や仕事を丸投げし、フォローを全くしなかったことで、社員は自信を喪失し、失敗することへの恐れから積極的な意欲が削がれてしまう結果になります。
エンパワーメントをビジネスに取り入れるのは、単に社員に権限や決定権を与えて、上司の仕事を減らすことではないことを銘記しましょう。
従業員に合わない権利委譲をしている
社員の特性に合わない、また責任が重すぎる権限を与えてしまうことはエンパワーメントが失敗する要因です。
そして、事業に損失が発生し、従業員を育てるどころか萎縮させてしまうという問題が生じます。
従業員に緊急度や重要度の高い、失敗できない難しい仕事を与えてしまったり、従業員の個性や能力に合わない仕事を振ってしまったりしないようにしましょう。
エンパワーメントビジネスが成功する秘訣は、従業員に合った責任の割り振りにあるといってもいいでしょう。
エンパワーメントビジネスのまとめ
エンパワーメントをビジネスに取り入れる意味は、従業員が持つ潜在的な能力を開花させるため、業務上の権力を委譲し、従業員を自主的に考え決断し行動するような人材に育成することを指しています。
そうしたやる気のある優秀な人材が確保されると、業務効率や顧客満足度もアップし、企業が繁栄していきます。
エンパワーメントをビジネスに取り入れるには、必要な手順がありましたし、フォロー体制を整えることで、従業員がのびのびと独創性豊かなアイデアが出せることでしょう。
そして失敗に終わらせないために、最終責任のありかを上司が認識しフォロー体制を整えておくことも大切です。
また、エンパワーメントの成功には、従業員の心理面での見守りが重要です。
人が潜在的に持つ意欲や自己実現の欲求、自己肯定感を高め、失敗を恐れずチャレンジする内面的な要素が深くかかわっています。
企業研修ではそうしたデリケートな精神面にアプローチし、エンパワーメントを影で支えます。
当社もさまざまな分野における企業研修の実績を積み、企業様のビジネスのお役に立っております。
エンパワーメントの成功のカギとなる研修も当社で承っておりますので是非ご活用ください。
この記事がビジネスの成功と発展に寄与するなら幸いです。
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