人材育成

ロジカルシンキング研修とは何か?プログラムの内容とは?

さまざまな問題を分類して、因果関係を分析する上で必要不可欠であるロジカルシンキング。

昨今では企業研修の1つとして取り入れられています。

そのロジカルシンキング研修について本記事では解説したいと思います。

ロジカルシンキング研修とは

皆さんは、「ロジカルシンキング研修」についてどの程度ご存知で(知っていま)すか?

ロジカルシンキング研修とは、論理的な思考を学ぶために行われる研修のことです。

名前だけは聞いたことがあるけれど、内容についてはよくわからないという人も多いでしょう。

今回は、ロジカルシンキング研修の目的や対象者について解説します。

ロジカルシンキング 研修の目的

ロジカルシンキング研修の目的は、論理的に考える力を身につけること、そしてビジネスで必要となる、問題や課題の原因、解決のための対策を提案するためのスキルを学ぶのが目的です。

論理的とは、「話の筋道を立てて、正しい順序で話したり考えたりすること」です。

自分の主張が通らない原因は、主張だけで、「理由」や「根拠」が抜けてしまうためと考えられます。

どうしてそのような主張をするのか、主張の根拠となるものは何か、を示すことで、説得力を持たせることができるのです。

そのため、ビジネスのさまざまなシーンで活用することができます。

ロジカルシンキング 研修の対象者について(新入社員・中堅社員・管理職など)

  • 新入社員向け:基礎的な知識
  • 中堅社員向け:実践的プログラムを多用
  • 管理職向け:ビジネスでの問題解決向けのスキル

新入社員向けのプログラムでは、ロジカルシンキングの重要性などの基礎的な知識を身につけ、自発的に動ける人材になるための内容が一般的です。

中堅社員向けのプログラムは、新入社員向けのものとは異なり、実践的な内容のプログラムが多くなっています。

グループディスカッションやグループワークなどを通じて、実際のビジネスに活用できる力を鍛えるものが主流です。

管理職向けのプログラムでは、ビジネスで求められる問題解決のためのスキルを鍛えるものが多くなっています。

ロジカルシンキング研修を行うメリットとは?

簡単に、「ロジカルシンキング研修」について解説しました。

しかし、皆さんの中には、「研修を受けることで、どのようなメリットがあるのだろうか?」と感じている人も多いでしょう。

  • 問題解決能力を鍛えることができる
  • 相手にわかりやすく伝えることができる
  • スムーズな意思決定が行える
  • 率先して行動できる社員を育成できる

ここでは、ロジカルシンキング研修を行う具体的なメリットについて解説します。

問題解決能力を鍛えることができる

メリットの1つは、「問題解決能力の向上」です。

問題解決能力とは、そのままの意味で、問題や課題に対して、原因を見つけて解決策を考え実行する力になります。

一般的な業務では、多くの問題や課題に直面しますが、場当たり的な対応をしてしまうと、さらに大きな問題に発展するリスクがあるのです。

場当たり的な対応をするのではなく、情報を整理して、原因を事実に基づいて調査して、最適な解決策を提案することが求められます。

ロジカルシンキング研修を受講することで、問題や課題の分析、適切な対策について考える力を鍛えることができるのです。

相手にわかりやすく伝えることができる

「社内や社外の人に、自分の考えが正しく伝わらない」そんな経験をしたことはありませんか?

原因はいくつか考えられますが、「伝える内容が明確になっていない」「事実と個人的な見解が一緒になっている」等が考えられます。

研修では、伝える内容を明確にすることや事実と、そうでないことを分けて考える力を身につけることができるため、相手にわかりやすく情報を伝えることができるでしょう。

営業職や商談の席などでは、必要になる力です。

スムーズな意思決定が行える

役職者の場合、ビジネスにおいて意思決定をしなければいけないことがあります。

重要な役職であれば、その頻度や量も多くなってくることでしょう。

しかし、意思決定においては正しいかどうかの判断に迷ってしまうことがあります。

ロジカルシンキング研修を受講することで、論理的に考える力や問題の本質を見極める力を鍛えることができるのです。

そのため、ビジネスシーンで必要となる意思決定をスムーズに行えるようになります。

率先して行動できる社員を育成できる

社内には、上司からの指示を待っているだけの社員がいますが、その原因は業務全体を把握していないためです。

業務全体を把握することができ、論理的な思考を身につけることで、上司からの指示を待たなくても率先して行動できる社員を育成することができます。

また、率先して行動できる社員を多く育成することで、全体の生産性の向上にも期待することができるでしょう。

ロジカルシンキング 研修のプログラム内容とは?

提供されている、ロジカルシンキング研修のプログラム内容は、それぞれ異なりますが、よく見かけるプログラムについて解説します。

  • MECE
  • ピラミッドストラクチャー
  • ロジックツリー
  • 演繹法
  • 帰納法

また、プログラムによって鍛えられる力が違うので注意しておきましょう。

MECE

「MECE(ミーシー)」とは、4つの言葉の頭文字を取って作られた基本的な概念のことです。

日本語での意味は、「漏れなく、重複せず」という意味で活用されています。

データを分析する際などには、非常に役立つ考え方です。

分析する際に、漏れや重複があると、正しい分析ができなくなるだけでなく、問題解決策を導くのが困難となってしまいます。

MECEを使うことで、思考を整理でき、分類が簡単に行えるので、問題点の発見や解決方法を考えるのが楽になるのです。

ピラミッドストラクチャー

「ピラミッドストラクチャー」は、文字通りピラミッド型の構造となっているのが、大きな特徴となっています。

ピラミッドの頂点には、自分の主張(結論)を置いて、その下に根拠を置くというものです。

自分の話を論理的に展開することができ、他の人に説明する際にもわかりやすくなり資料の作成や交渉を行う際に役立つ手法となります。

プレゼンテーションなどの説明手法で用いられることも多く、結論を述べたうえでその根拠となる事例や証拠を提示していくことで納得感のあるプレゼンを相手に提供することが可能です。

ロジックツリー

ロジックツリーは問題や課題解決のために活用される、フレームワークとなっています。

最初に、問題や課題を設定して、それぞれの原因等を分解して、解決策を導くために活用されているのです。

現状を簡単に把握できることや他の社員との共有がしやすくなること、解決策を見つけやすくなるなどの特徴があります。

たとえば「体重が減らない」という問題提起に対して、「摂取カロリーを減らす・消費カロリーを増やす」という2つのツリーに分岐し、そこからさらにツリーを分岐させることで問題の根本的な部分を分析しやすく、考え得る原因ごとに解決策を講じやすくなるのです

演繹法

演繹法(えんえきほう)は一般的な事実を基にして、結論を出す手法のことです。

ビジネスシーンでは、企画や戦略の立案、市場予測などに活用されることが多くなっています。

有名な話では哲学者のアリストテレスの「人間は死ぬ(大前提)→ソクラテスも人間である(小前提)→ソクラテスもいつかは死ぬ(結論)」という考え方があります。

演繹法の弱点としては、提示する前提が間違っている場合は、その前提としている論法はすべて間違っている可能性が高いという点が挙げられます。

帰納法

帰納法は、事例などから結論を導き出す手法のことです。

1つの事例ではなく、複数の事例などから共通する点を挙げて、結論を導き出します。

複数の事例から結論を導き出すため、相手にも納得してもらいやすくなるのが特徴です。

たとえば「A国とB国、C国で国家的に景気が悪い」という事象がある場合、共通する「景気が悪い」という点が挙げられますので、この結果として帰納法では「世界的に景気が悪い」と結論付けられるケースもあるでしょう。

ロジカルシンキング 研修の方法について

ロジカルシンキング研修の方法には、主に3つの方法があります。

「対面研修」「オンライン研修」「e-ラーニング」の3つです。

それぞれの研修方法やメリット・デメリット、どのような人にあっているか、について解説します。

自分にあった方法を選択しましょう。

対面研修

対面研修は、受講生と講師が対面形式で行う研修方法です。

研修会場や企業の会議室などに集まって、研修を行います。

メリットは、グループワークやグループディスカッションが行える点です。

また、受講生同士でコミュニケーションを図ることで、これまではあまり接点のなかった社員とも交流が生まれ、交流が深まると考えられます。

デメリットは、コストがかかる点です。

研修会場を借りるための費用や移動するための費用などがかかります。

さらに、大人数での研修となると日程の調整などが困難となるでしょう。

オンライン研修

オンライン研修は、対面研修とは異なりオンライン上で行う研修です。

インターネット環境や研修に使うツールがあれば、簡単に参加することができます。

メリットは、対面研修のように移動が不要で、離れた場所からも参加できることです。

例えば、複数の支店や支社がある場合などは、(移動にかかる)無駄なコスト(と時間)が抑えられますし、対面研修と比較すると、業務の調整もしやすくなります。

デメリットは、インターネット環境に大きく左右されてしまう場合がある点です。

環境が悪いと、研修内容が聞き取れない、わからない、遮断されてしまう場合があります。

コストを抑えたい・参加人数が多いという場合におすすめの研修方法です

e-ラーニング

e-ラーニングは、インターネットを活用したオンライン学習のことです。

一般的には、動画を視聴しながら研修を受けます。

オンライン研修は、基本的にリアルタイムで行われますが、e-ラーニングは、自分の都合にあわせて進めるのが特徴です。

大きなメリットは、場所や時間などに制限がないことで、1日短時間でも研修を受けることができます。

場所や時間に関係なく受けられるため、業務時間の調整などが不要です。

デメリットは、良くも悪くも自分次第になってしまうことです。

意欲の高い社員は、積極的に研修を受けようとしますが、そうでない社員は積極的に受講しないことも考えられます。

社員によって、研修の効果が大きく異なる可能性があるのです。

業務時間の調整が難しい人や自分のペースで進めたいと考えている人にあった、研修方法となっています。

ロジカルシンキング 研修を行う際の注意するべきポイント

ロジカルシンキング研修は、ただ行えばよいというものではありません。

研修を行う際には、ポイントを押さえながら、研修効果が高まるように注意しましょう。

社員にポイントを意識させておかないと、研修が無駄になってしまう場合があります。

それぞれが目標を設定する

ロジカルシンキング研修では、受講生が目標を設定することが大きなポイントです。

社内で、プレゼンテーションや提案書を作成する人であれば、「プレゼンテーション力」や「提案力」の向上を目標にするとよいでしょう。

能力が向上することで、相手を説得しやすくなり、自分の提案などが採用されやすくなります。

それから、コミュニケーションに課題を抱えている人であれば、「コミュニケーション能力の向上」を目標にしましょう。

このように、それぞれが目標を設定しておくことで、研修で学んだ知識を生かしやすくなります。

反対に、目標が設定されていないと、受講してもどのようなことに知識を生かせばよいのかが理解できず、十分な効果を得られない可能性があるでしょう。

研修後も復習や実践(を)する

研修を1度受けただけでは、十分とは言えません。

日々の業務に生かすためには、研修で学んだことを復習、実践することが大切です。

復習や実践をすることで、より知識や理解を深めることができます。

一緒に参加した受講生同士で、情報を共有するのもよいでしょう。

せっかく受講しても、復習や実践をしなければ、学んだ知識を忘れてしまいますし、実践しなければ、業務で活用することが難しくなってしまいます。

それぞれにあったプログラムを選択する

研修に参加する際には、それぞれにあったプログラムであるか、が重要です。プログラムは、同じものではなく、新入社員・中堅社員・管理職などに向けたプログラムが提供されています。

それから、選択する内容によっても、得られる効果が変わるので、立場やどのような効果を期待するかによって、適切なプログラムを選ぶことが重要です。

1人1人が抱えている課題も異なるため、課題を解決できる内容を選ぶのがよいでしょう。

まとめ

ロジカルシンキング研修とは、論理的な思考を学ぶための研修です。

論理的な思考を身につけて、問題や課題の分析、解決策を考えるスキルを取得することを目的としています。

「問題解決能力の向上」「自分の主張を相手にわかりやすく伝えることができる」「スムーズな意思決定が行える」「スムーズな意思決定が行える」など複数のメリットがあるのです。

提供されるプログラムには、さまざまな立場の人を対象としたものがあり、取得できるスキルも異なるので、自分にあったものを選ぶのがおすすめです。

研修方法には、対面研修・オンライン研修・e-ラーニングがあります。

それから、研修を行う際には、目標設定や復習、実践を行う等に注意しましょう。

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記事の監修者
   ビジネストレーニング事業部
   

ビジネストレーニング事業部

社員研修の専門家チーム。数多くの研修プログラムを開発し、中小企業から大手企業まで200社以上の実施実績がある。 それらのノウハウをまとめた「ビジネスパーソンのためのボトルネックブレイクⅠ」「ビジネスパーソンのためのボトルネックブレイクⅡ」等の著書も出版している。