人材育成

リスキリングの導入事例や行なうメリット・成功させるための秘訣

社員のスキルを向上させるリスキリングの重要性が高まっています。

人材不足や生産性の向上などに対応するため、多くの企業がリスキリングを導入していますが、具体的な事例を知りたいと思っているのではないでしょうか。

本記事では、これまで多くの企業様にてリスキリングを行なってきた私たちが、リスキリングの意味や導入事例、注目される理由やメリットと課題、成功させるための方法について解説します。ぜひ最後までご覧ください。

リスキリングは新たなスキルを身につけること

リスキング

リスキリングは従業員が新たなスキルを身につけることです。

特にデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代において、リスキリングは企業の競争力を維持、向上させるための鍵となります。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

デジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス・文化・顧客体験を新たに創造(あるいは既存のそれを改良)して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たすプロセスのこと。

デジタルトランスフォーメーション – Wikipedia

リスキリングにより、従業員は新しい知識や技術を習得し、業務の効率化や新たなビジネスチャンスの創出に貢献できるのです。

リスキリングの導入事例4選

リスキング

多くの企業では、さまざまな方法でリスキリングを導入しています。

企業がリスキリングに取り組むと、新たなビジネスチャンスや業務の効率化につながり、競争力の向上が期待できるでしょう。主な導入事例4選を以下のとおり紹介します。

  • 必要なスキルを従業員が自由に選べる方法
  • 全従業員参加型
  • 学びたいときに学べる環境整備
  • リスキリングのみに専念できる環境づくり

必要なスキルを従業員が自由に選べる方法

学習用のプラットフォームを用意し、必要なスキルや興味のある分野を従業員が自由に選んで学べる仕組みにしています。

この方法は従業員のモチベーションを高め、学びを促進する効果があります。学習の進捗や成果が可視化できると目安が分かり、フィードバックもしやすいでしょう。

全従業員参加型

特定の人材に依存せずに全従業員が学ぶことで、組織全体のデジタル対応力を向上させるのに役立つでしょう。

また、業務が一部の人材に集中するリスクや、属人化を防ぐ効果も期待できます。

学びたいときに学べる環境整備

従業員が各自のペースで学べるeラーニングを提供し、必要なスキルをタイムリーに習得できる環境を整えます。

これにより業務とリスキリングを両立させやすくなり、実践的な知識が身につくのです。

PCだけでなくスマートフォンやタブレットでも学べるシステムを取り入れると、通勤時間や隙間時間でも学びやすいメリットがあります。

リスキリングのみに専念できる環境づくり

現在の業務量を変えずにリスキリングを追加しながらも、労働時間を増やさないようにと従業員に指示していないでしょうか。このような方法ではリスキリングの時間が取りづらく、後回しになりがちです。

ある企業では選抜された従業員が半年間リスキリングに専念するプログラムを実施しています。リスキリングに集中すると新しい知識を集中して学べるため、自信を持って業務に活かせます。

リスキリングが注目される理由

リスキング

リスキリングは日本だけでなく海外でも取り上げられており、注目される理由は以下の3点です。それぞれ見ていきましょう。

  • ダボス会議での位置づけ
  • 日本政府の支援
  • 労働力の不足

ダボス会議での位置づけ

2020年1月21日から24日にスイスでダボス会議が開催され「リスキリング革命」が主要な議題として取り上げられました。

ビジネスモデルの変化に対応するため、全世界の10億人に向けた新しい教育の提供を2030年までに目指します。

このような国際的な取り組みの中で、リスキリングは企業の競争力を維持するための重要な施策と位置付けられているのです。

日本政府の支援

日本政府もリスキリングを推進しています。2022年10月に、リスキリング支援制度を総合政策の一環として盛り込む考えを岸田前総理が表明しました。

具体的には、5年間で1兆円を投じて、個人のリスキリング支援を行ないます。

経済産業省や厚生労働省が連携して多様な支援策や助成金を整備しているため、企業にとっては大きなメリットと言えるでしょう。また、専門家によるキャリア相談やリスキリング講座の提供も行われています。

労働力の不足

日本では少子高齢化により労働力が不足していくと言われており、従業員のリスキリングが不可欠です。新しい技術や知識を習得して業務効率化を進め、より専門的な仕事に集中できます。

リスキリングは単なる従業員教育ではなく、企業戦略として重要な位置づけを持つため、ますます加速するでしょう。企業は人材育成戦略として、リスキリングを積極的に取り入れることが大切です。

リスキリングを行なうメリット

リスキング

リスキリングを行なうと企業の競争力が高まる上、従業員のスキルも向上するメリットがあります。

リスキリングの導入によって企業の持続的な成長の実現につながるでしょう。具体的なメリットを以下のとおり解説します。

  • 生産性向上
  • 従業員のモチベーション向上
  • 雇用の維持

生産性向上

リスキリングで従業員が新しいスキルを習得すると、生産性の向上や業務の効率化が期待できます。

デジタル技術の活用により手作業で行なっていた業務が自動化でき、作業時間が短縮できるなど、多くのメリットがあります。これにより空いた時間をコア業務に充てられるため、企業の生産性が向上するのです。

従業員のモチベーション向上

従業員のモチベーション向上もリスキリングのメリットの1つです。

従業員が新しいスキルを学ぶと自信がつき、仕事への意欲が高まるでしょう。また、企業が従業員の成長を支援するため、エンゲージメントの向上も期待できます。

エンゲージメントの向上によって離職率の低下にもつながります。

雇用の維持

リスキリングは雇用の維持にも寄与します。

技術が進むと既存の職務がなくなる恐れがありますが、従業員が新たなスキルを身につけると他の業務に対応できるため、雇用の維持が可能になるのです。

このような取り組みは優秀な人材の確保だけでなく、企業の安定性や競争力の強化にもつながるでしょう。

リスキリングに対する課題

リスキング

リスキリングの導入は企業が競争力を維持するための重要な施策です。

しかし、いくつかの課題も存在します。以下の点についてそれぞれ説明します。

  • 従業員から反発される可能性がある
  • 時間とコストがかかる

従業員から反発される可能性がある

リスキリングを導入する際、従業員から反発される可能性があります。

新しいスキルを学ぶのに抵抗がある場合や、自身の業務が変わることへの不安を感じるかもしれません。そのような場合はモチベーションが低下して、学習意欲を失うでしょう。

また、長年同じ仕事を行なっており、新しいことを学ぶのは面倒だと思う従業員からの反発も大きいでしょう。

リスキリングの必要性や目的を従業員が十分に理解していない場合「自分には関係ないことだ」と感じたり、時間の無駄だと思ったりする恐れがあります。

このような状況ではリスキリングの効果が薄れ、人材育成戦略に悪影響を及ぼすでしょう。そのため、従業員に対してリスキリングの意義やメリットをしっかりと伝え、学ぶ環境を整えつつ意欲を持たせる必要があります。

時間とコストがかかる

リスキリングには時間とコストがかかります。学んだことがすぐに成果として現れない場合が多いため、長期的な視点で考慮する必要があります。

また、従業員が新しいスキルを身につけるためには、通常業務に加えて学習時間を確保する必要があります。学習時間は労働時間に含まれるため、企業は残業代の負担が増えるでしょう。

さらに、リスキリングプログラムは専門的な内容が多く含まれるため、外部講師や教材の準備も必要です。

上記の理由により、リスキリングの導入は慎重になりがちですが、長期的には人材育成や業務効率化につながるため、戦略的な投資として捉えることが必要です。

リスキングを成功させるための方法5選

リスキング

リスキリングは従業員に新たなスキルを習得させて、企業の生産性を向上させる重要な取り組みです。

リスキリングを成功させるための具体的な方法について、以下の通り解説します。

  • 明確なゴールと計画を決める
  • リスキリングしやすい環境を作る
  • 従業員の理解を得る
  • 身につけた知識が活用できる場を作る
  • 従業員を長期的にサポートする

明確なゴールと計画を決める

リスキングの第一歩は、明確なゴールと計画を決めることです。企業の戦略やビジョンに基づいて、従業員にどのようなスキルが必要かを特定し、それに向けた具体的な計画を決定しましょう。

例えば、DXを推進したいと思う場合は、デジタルスキルやデータ分析能力が必要です。このように、目指すべきスキルを明確にして、それに基づいた教育プログラムを設計することが大切です。

リスキリングしやすい環境を作る

従業員がリスキリングに取り組みやすい環境を整えるのも大切です。

例えば、学習する時間を就業時間内に設ける、eラーニングで各自が好きな時間に学習できるようにするなど、自ら学びたくなる環境を整えるとよいでしょう。また、従業員同士がサポートし合える場を作るのも効果的です。

従業員の理解を得る

リスキリングの目的や必要性を従業員に理解してもらうと、効果が高まります。企業が従業員へ丁寧に説明し、納得してもらえると、自発的に学ぼうとする姿勢が作れるでしょう。

これにより従業員のモチベーションが上がり、生産性の向上につながるのです。

身につけた知識が活用できる場を作る

新たに習得した知識を実務で活用できる場を作ります。

例えば、毎月手作業で作成していた資料の自動化や、属人化していた在庫管理のシステム化を行なうなど、実務に役立つことが実感できると学びの意欲がさらに高まるでしょう。

成功事例を社内で発表する場を設けるのも、従業員のやる気を引き出すために効果的です。

従業員を長期的にサポートする

学んだことを身につけて実務に活用するのは時間がかかるため、企業の継続的なサポートが必要です。そのため、フォローアップ研修を導入して、従業員が学び続けられる環境を整えます。

また、キャリアパスと連動させた支援により、自身の成長と企業への貢献が結びつく仕組みを作ると、従業員と企業の双方に良いメリットがあるでしょう。

リスキリングの導入事例に関するまとめ

リスキング

リスキリングの意味や導入事例、注目される理由やメリットと課題、成功させるための方法について解説しました。

リスキングは従業員が新たなスキルを身につけることを指しており、企業の競争力を向上させるための大切な施策です。従業員が積極的に学ぼうと思える環境を企業が作ると、スキルの習得につながります。

しかし、業務の他に学ぶものが増えると、従業員が反発する可能性があります。リスキリングの目的や必要性を十分に説明して、従業員を長期的にサポートするとよいでしょう。

自社には具体的にどのようなリスキリングの方法が合うのか分からない場合は、ぜひ私たちまでご相談ください。

詳細をお伺いして、それぞれの企業に最適な方法をご提案いたします。

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記事の監修者
   ビジネストレーニング事業部
   

ビジネストレーニング事業部

社員研修の専門家チーム。数多くの研修プログラムを開発し、中小企業から大手企業まで200社以上の実施実績がある。 それらのノウハウをまとめた「ビジネスパーソンのためのボトルネックブレイクⅠ」「ビジネスパーソンのためのボトルネックブレイクⅡ」等の著書も出版している。